粉体塗料

粉体塗料は、塗るというよりも細かい粒子で金属をコートするといったイメージの塗料です。

塗装方法ですが、直径30~40μmの粉状の塗料を素材に付着させ、乾燥炉でおよそ170~200℃、20分の条件で加熱します。
加熱することで、粉状の塗料はいったん溶融するのですが、その後すぐに乾燥・硬化させることで均一な塗膜を形成します。

では、どうやって粉状の塗料を金属に付着させるのでしょうか?


答えは、静電塗装することで、静電気の力で付着させます。

静電塗装は、塗料の粒子を静電気で帯電させ、アースを取った被塗物に付着させる方式です。
先端に負の高電圧を印加したガンにより塗料の微粒子を帯電させ、静電気の引力で被塗物へ引き寄せて付着させます。

粉体塗装の特徴ですが、1回の塗装で30~150μmの膜厚をつけることができます。
溶剤塗装の設備と異なるために、塗装ガン、塗装ブースなど、設備は一式揃えなければなりませんが、素材に付着しなかった塗料は回収再利用ができるために、塗料のロスを大幅に減らすことができます。


また、粉体塗装は自動化がしやすい塗装方法です。

溶剤塗装についてはこれまでの講義で、数々の塗装不良について説明してきましたが、高品質な塗装をするには、熟練した技術を必要とします。
しかしこれから、熟練技術者を確保するのがますます難しくなってきますし、特に中国では従業員が辞める確率・頻度が高いため、塗装作業者に技術を教えることは報われない努力だと言えるでしょう。

これらのことを考えると、塗装を自動化できる粉体塗装は、非常に魅力的な塗装方法だと言えます。


粉体塗料には、耐候性の良いポリエステル樹脂粉体塗料と、耐候性の悪いエポキシ・ポリエステル樹脂粉体塗料があります。
ガードレール、重電設備などの屋外用途では、ポリエステル樹脂粉体塗料が使われます。
特に耐候性の必要ない、電気製品、産業機械のカバーなどの屋内用途では、エポキシ・ポリエステル樹脂粉体塗料が使用されます。

さらに粉体塗料は、防錆性能も優れているんですね。
通常の耐防食性の要求であれば、粉体塗料1コートのみで十分に満たすことができます。
もっと過酷な条件であれば、下塗りにエポキシプライマーを塗装して、上塗りとして粉体塗料を塗装することで対応できます。


ここからは、粉体塗装の弱点について説明したいと思います。

まず、色替えに時間がかかります。
溶剤塗装であれば、塗装ガンをシンナーで洗浄すれば、すぐに次の色を塗装することができます。
ですが粉体塗料は、塗料の回収再利用を行う場合、塗装ガンだけでなく、塗装ブースの塗料回収経路まですべて塗料をきれいに清掃しないと、次の塗装をする時に前の色が混ざってしまいます。

次に、少量多色に対応しようとすると、回収再利用のメリットが無くなります。
回収再利用できるといっても、回収経路にある程度の量の塗料が残りますので、1色あたり少量の塗装だと再利用の効果が出ない、というわけですね。
さらに、少量多色だと塗装時間よりも色替えに時間がかかってしまうので、塗料コストはほとんど削減できないのに、作業コストが高くなってしまうという逆効果にもなりかねません。

最後に、これは塗料製造の問題なんですが、粉体塗料は少量生産、短納期対応が難しいです。
粉体塗料は、溶剤塗料のように元になる色を作り置きして、それを混ぜて調色するという製造方法が出来ません。
お客さんの要望する色に合わせて、原料投入から1色ずつ製造するため、仕掛品からスタートする溶剤塗料にくらべ、製造リードタイムが長くなります。
この製造方法の特性から、少量生産にも手間がかかるため、1色300kg以上で注文しないと非常に高価になってしまいます。


以上のことから、粉体塗料にはメリットがたくさんありますが、同じ色を使って大量に製造する製品でなければ、メリットを活かすことが難しい塗料だということができますね。



中国におけるVOC規制についてのコラムは、こちら

江蘇省のVOC規制法令を読み解くのコラムは、こちら

水性塗料についてのコラムは、こちら

模様塗料の種類についてのコラムは、こちら



☞ メルマガ登録
こちらをクリック(登録フォームに進みます)

~中国の文化や中国でのモノづくり、組織でのコミュニケーション
 といったテーマで情報発信しています。
 登録解除は、配信メールの一番下の案内からいつでも行って頂けます。
 気軽に登録して読んでみてくださいね。~